一般建築物石綿含有建材調査者とは
建築物に使用されている石綿に起因して発生する健康被害及び健康障害を未然に防止するため、建築物に使用されている石綿含有建材等に関する調査を精密・正確に実施する専門家の育成が求められています。一方で調査対象となる民間建築物の合計は、280万棟と推計されていることから、今後、正確かつ精度の高い調査の実施者を増やしていくことが大きな課題となっています。
大気汚染防止法及び石綿障害予防規則で定められた、建築物の解体・改修などの前に実施する調査については、建築物石綿含有建材調査者資格を有する者が行わなければなりません。2023年10月1日以降は、同資格者による調査が義務付けられます。
建築物石綿含有建材調査者は、「特定」と「一般」「戸建て」の3つの種類があります。建物の解体や改修の際に、石綿を含む建材等の有無を調査します。令和2年7月に石綿障害予防規則等が改正され、建築物石綿含有建材調査者が調査にあたることが義務付けられました。
特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)は、一戸建ても含めた、全ての建築物、構造物を調査できます。一般建築物石綿含有建材調査者講習の修了者は、住宅、店舗、工場などを含むすべての建築物について事前調査を実施することができます。これに対し、一戸建て等建築物石綿含有建材調査者の修了者が事前調査を行えるのは一戸建ての住宅または共同住宅の住戸の内部(住戸の専有部分を指し、共同住宅の住戸の内部以外の部分(ベランダ、廊下等共用部分)及び店舗併用住宅は含まれない)の解体・改修前の事前調査に限られます。
2023年10月1日以降は資格者による調査が義務
アスベストは、天然に存在する繊維状の鉱物です。石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれます。熱や摩擦等に強く、安価であることから、建設資材の他にも、私たちの身近なさまざまな工業製品に使われてきました。特に断熱目的やむき出しの鉄骨に直接吹き付けられたものは、非常に危険性が高くなっています。発じんの危険があるため、速やかに除去などの対策を講じなければいけません。昔はアスベストは断熱用として使われていたことが多く、天井に直接吹き付けられたりしました。そのため、古い建物ほど危険性が高く、作業の際には防護服や手袋などの装備も必須になっています。これらは飛散する可能性も残されているため、呼吸器系へ障害を起こす危険も高くなっています。空気中に浮遊するアスベスト繊維を吸入すると、肺がんや中皮腫などの重篤な疾患が発症するおそれがあるため、現在では製造や使用等が禁止されています。
しかし、アスベスト禁止以前に建築物に使用されている吹付けアスベスト等は、経年劣化や損傷などにより飛散し、建物の利用者の健康障害につながるおそれがあります。早めに飛散防止対策をしないと、建物の利用者が飛散したアスベストにばく露する可能性があります。また、アスベストを使用した建築物を解体したり、リフォームする際にも、そのアスベストが飛散するリスクが高くあります。そのため、アスベストを使用した建築物を取り扱う際は、事前にアスベスト使用箇所を書面や関係者から聞き取り、実際に書面等では確認できない箇所を目視で確認する必要があるのです。
事前調査は、解体等工事や石綿除去工事などの一連の工程における石綿の飛散及びばく露を最小化することを目的に行うものであり、事前調査中に石綿が大気中に飛散することや労働者が石綿にばく露することがあれば本末転倒です。そのため、事前調査では、石綿を含有する可能性がある粉じんを飛散させないこと、調査者等の粉じん吸入を防ぐことが必要となります。私たちの健康被害を最小限に抑えるためにも、事前確認及び、それに関わる調査者に資格保有を義務付ける必要があると言えます。
「一般建築物石綿含有建材調査者」終了考査合格しました
この度一般建築物石綿含有建材調査者終了考査に無事合格することができました。塗装の分野とは異なることが多く、大変難しい講習でした。石綿の問題について塗装工事とは直接関係ないように思えますが、建物の様々な部位や塗料自体にも使用されている過去があります。法改正の動きから2006年以前に建築された建物にはアスベストが含有している可能性があり、2006年以降に建築された建物にはアスベストが含有されていないことがわかります。まずはご自身のお家の築年数を調べ、該当する場合はしっかりと調査をして塗装工事をご検討ください。2023年10月1日以降着工の工事は建築物石綿含有建材調査者が行うのが義務となります。