営業マンは現場を知らない方がほとんどです。ある程度大きさを計って塗料の種類を選び見積りをします。お家は大きく分けて3種類に分かれます。モルタル・サイディング・ALCです。現在のお家の8割はサイディングのタイプになります。経年数によってお家の劣化状況は異なります。営業マンではその点を考慮できないため、工事が始まって追加工事が必要になったりすることがあります。
築10年と20年の建物があるとした場合、同じ塗装の内容で工事が可能だと思いますか。答えは同じ内容で塗装はできません。10年サイクルで塗装工事は行うべきであると推奨されておりますが、あくまで目安です。立地状況などもお家の劣化に大きく影響するため、単に築年数だけで判断はできません。劣化が進んでいれば下地補修が必要になります。また、補修についてもどこまで補修をするかなど内容は様々です。
例えば外壁にクラック(ひび割れ)があったとします。これをシーリング材などで埋めて塗装する場合。補修跡が目立つため見た目が悪くなります。
ではクラックを埋めた後、補修跡を目立たないようにさせて塗装する。これを肌合わせと言います。補修した周囲と同じ柄を付けることで補修跡を目立たなくさせる工程です。
クラック補修ひとつにおいても、ここまで詳細に見積書には記載されることはありません。見積書に同じ塗料の名前が記載されているからと言って、塗装工事の内容が同じということでは決してありません。
また、特に屋根において見られますが、15年以上何もされていない状態であれば通常3回塗りで施工ができる場合も4回塗りする必要があります。それは劣化が進み塗料を吸い込んでしまうためです。この場合下塗りを2度行う必要があります。メーカーのカタログにもきちんと記載されています。ですが、下塗りを2度も行う業者はほとんどいません。基本的には3回塗りで施工ができるからと勘違いしているためです。見た目はキレイになると思います。ただ、3回塗りと4回塗りを比べた際にはっきりと違いはわかります。屋根に上がって見ていただくことができませんが、見た目だけ良ければいいという考えであればそれもいいでしょう。ですが、その代償は必ず経年によってやってきます。
塗装は手直しが大変困難であるとお伝えしました。後悔されたお客様を何人も見てきただけに私が今皆様へお伝えできるアドバイスです。高品質な長寿命の塗料を使用するかしないかはどちらでもいいと思います。ですが、それよりも大切なのは下地補修です。下塗りをしっかりと行うことで塗料の捲れなどを防がなければ意味がありません。そして、塗料には必ず長所と短所があります。きちんとそこを納得した上で使用される塗料を選定してください。